0. はじめに
私たち「新型コロナワクチン学内接種学生対策班」の活動報告書をお読みいただき、ありがとうございます。私たち対策班は、北海道大学における新型コロナワクチン職域接種実施に向けた情報発信活動に取り組んで参りました。
この度、活動を締めるにあたり、活動の報告書を作成いたしました。本書をお読みいただく皆様に本活動の存在を伝えるだけでなく、学生が大学の取り組みに関わるという行動に対する今後の展望についても考察できればと考えています。どうぞ最後までお読みいただけますと幸いです。
本書で登場する人物や部署は、2021年10月現在の情報です。
1. 活動の概要
1.1 情報発信(接種行動への介入)
本活動における情報発信の目的は、少しでも接種を検討している学生を後押しすることだった。そのため、内容は「大学関連情報」と「医学情報」の2種類を取り扱った。
「大学関連情報」では、北海道大学より発信された職域接種の実施案内に関する内容を扱った。接種を希望する学生が求める内容を考慮し、
- 接種が無料であること
- 強制でないこと
- 当日の持ち物や注意点
などを簡潔にまとめて発信した。加えて、接種をしないことに決めた学生への誹謗中傷を防止するための内容も盛り込んだ。
「医学情報」では、科学的根拠に基づいて、ワクチンの仕組みや有効性、安全性などを扱った。その際、専門知識のない学生でも理解が容易で接種検討のために活用できる情報を配信することに重きを置いた。これは活動開始当初にSNSなどで誤情報とともに情報が錯綜していたことを鑑み、医学的な知識のない学生に科学的根拠に基づいた情報を提供して接種の検討を行ってもらうためだった。
情報伝達の手段としては、北海道大学HPとポスター掲示を利用した。日本語を母語としない留学生に向けて、ポスターは英語版も用意した。また、北海道大学の職域接種予約ページ開設直後には、対策班で作成した学生特設サイトへのリンクが設置されるまでの期間を要したため、コミュニケーションアプリ「LINE」を用いて学生への特設サイトの周知を図る活動を行った。
1.2 接種方法・会場設営への提言
本対策班発足当初は、職域接種事業についての決定事項はほとんどなく、事業推進に向けたタスクフォースも発足したばかりであった。そのため事業の初期段階から、学生視点での提言を大学本部に対して行うことができた。
対策班初期の活動としては、
- 札幌市の大規模接種会場 (パークホテル) の視察とそれを踏まえた提言
- 寳金清博総長、山口淳二理事、玉腰暁子教授を交えたミーティング
を行った。ミーティングでは、情報発信を行う際の注意点や学生ボランティアを採用する際の工夫などを提案した。
職域接種開始後は、
- 接種ボランティア不足時の人員確保
- 接種ボランティアの各セクションの業務内容のマニュアル・申し送りの作成と更新
- 対策班メンバーやボランティアスタッフの要望・意見を玉腰教授に伝えること
- 学生から問い合わせへの回答や、それをタスクフォースに共有すること
などを行った。
1.3 北海道大学の公認について
本対策班とその活動は北海道大学の公認をいただいている。本活動で作成した学生特設サイトやポスターには北大のロゴが使用されているほか、特設サイトのリンクが北大の職域接種予約ページに設置されている。また、活動や発信した情報は北海道大学大学院医学研究院公衆衛生学教室の玉腰暁子教授に監修していただいた。
2. 背景
2021年6月7日、北大における新型コロナワクチン職域接種実施について、寳金清博総長から学生と教職員に向けた通知が発信された。北大関係者は札幌市民の約1%を占め、大学をあげて職域接種に取り組むという内容であった。その翌日、私たちはまず初めに公衆衛生学教室の玉腰暁子教授とオンライン上で意見交換会を実施した。当時はハード/ソフトの両面において集団接種の進め方等がほとんど未確定であったが、『ワクチン接種行動への介入』と『人手の確保・配置』の2点を中心とした情報発信を行うこととした。
今回の職域接種は夏期休暇中の実施であり、さらに副反応やワクチンそのものへの不安等による接種行動への障壁が懸念されるなか、
- 私たち北大生が正しい情報に基づき、自らの判断で職域接種に臨めるようになる。
- 職域接種の予約や当日の接種会場で、手続きがスムーズに遂行されるようになる。
の2点を活動の目的として定めた。2021年6月8日から約4ヶ月間にわたり、北大構内各地でのポスター掲載と情報サイト運営を目標に、北大医学科生を中心とした27名の有志が活動することとなった。
私たちが何を実現し何に貢献したいのか。学生主導の活動の強み/弱みは何か。対策班に求められることは何か。それらを常に考え、活動方法を模索しながらの毎日であった。
3. 情報発信のツール
私たちが調査しまとめた情報を発信するにあたって、複数のツールを検討した。私たちの活動の主たる目標は、「北大生が正しい情報に基づき自らの判断で職域接種に臨めるようになる」ことである。この目標を達成するために働きかけるべきターゲット層は「ワクチン接種に消極的だが、ワクチン拒否とまでは言えない層」であると考え、この層に届きやすい媒体を選び、情報を届け、行動変容を起こしてもらうことを目標とした。
検討した情報発信の手段として、Twitter・LINE・Webサイト・ポスターが挙げられる。議論の結果、私たちは情報のハブとして学生特設サイトを作成し、LINEとポスターで当サイトのURLを拡散する方法を採用した。
Twitterは大学生を含む若者のアクティブユーザーが多く、魅力的なツールであったが、今回は採用を見送った。その理由として
- 北大の外に拡散されすぎること
- 情報が分断されること
- 他に優れた拡散手段が存在すること
の3点が挙げられる。
2月の医療従事者先行接種からこの原稿を執筆している10月に至るまで、SNS (主にTwitter)ではワクチン接種に関して議論の域を超え、攻撃とも呼べる応酬が続いている。そこに私たちのアカウントを開設することは、渦中に身を投じる事に他ならない。これは私たちの「北大生への情報拡散」という目的から逸脱すると考えた。またSNS上の論争に巻き込まれることが他の北大生の意思決定に良い影響を及ぼすとは考えにくく、いたずらに私たちの価値・私たちの発信する情報の価値を下げると判断した。
Twitterでは情報が分断されることも一つの要因である。Twitterは情報をストックするツールではなく、文字通り情報が流れて行くツールである。ある一つの情報にのみ注目が集まると、相対的に他の情報の注目度が下がり、人によって得られる情報に差が生じることになる。このような事態は我々の意図するところでは無く、ワクチンに関する一連のまとまった情報を提供するためにもTwitterは好ましいツールではなかった。
「北大生に情報を届ける」という視点ではTwitterより優れた手段が存在したことも大きな理由の一つである。北海道大学の学生が形成する同クラス・同学部・同学科のLINEグループは基本的に顔見知りのみで成立するコミュニティである。ここに情報の拡散を依頼することで、「知り合い」という媒体を通じて信頼感を演出しつつ効率的に情報を伝達できる。「顔も名前も知らない他人が発するワクチンに否定的な情報」に対するカウンターとしては「顔も名前も知らない他人が発するワクチンに肯定的な情報」より「知り合いから流れてきたワクチンに肯定的な情報」の方が訴求効果は高く、行動変容につながりやすいと考え、Twitterの採用を見送った。
3.1 Webサイト
私たちは今回の情報発信において、学生特設サイトをハブとなるツールとして位置づけた。実際に、LINEグループでの情報拡散もポスターの掲示も最終的な目的は当サイトへの誘導である。Webサイト作成では、内容・実装で担当を分割し、並行して作業を行った。
内容
ワクチン接種に消極的な層に行動変容してもらうには、北海道大学が発信する情報だけでは不十分と考え、「同じ北大生が活動している事」と「わかりやすい情報」を発信する目的で、医学部学生が2つのグループに分かれて活動した。
医学情報班:発信される医学情報の収集・精査
今回の職域接種において、ワクチンに関する医学情報は、私たち対策班の発信が今回は唯一であった。ワクチンに関する医学情報は報道やSNS上でも散見されたが、その中には情報源が不明で信憑性に欠けるものもあった。そこで私たちとしては出典・参考ページは厚生労働省・武田/モデルナ社などを中心に明記し、さらに誤解と混乱を招かない表現になるよう工夫した。特に効果や副反応に関する正確な知識や情報については、私たちも慎重に取り扱うこととした。
大学情報班:北大当局による情報発信への補足
北大から発信された情報をもとに、学生ならではの視点で情報を整理した。学生にとって大学の通知は一般に堅く、見慣れない形式をとることがある。そして昨今の長引くオンライン中心の大学生活では、その通知を如何に的確に学生に届けるかが課題である。私たちは北大から配信される通知のすべてを収集・解釈しそれをまとめ、より迅速かつ的確に情報を届けられるよう対応した。ただ受動的に情報の配信を待つだけでなく、時には欲しい情報を配信するよう大学に依頼することもあった。
実装
サイトの作成はデザイン担当の医学部学生とコード担当の非医学系大学院生が協力して行った。ホスティングサービスの選定にあたり、以下の条件から複数のサービスを検討した。
- 無料であること
- 広く使用されており、信頼できること
- ホスティングサービスによるものも含め、広告が表示されないこと
- https通信が可能であること(httpのセキュリティ警告表示を回避する)
- 容量制限が十分であること
私たちが作成するサイトは管理コストの削減とページ移動による情報の分断を防ぐ目的で、シングルページとした。このことからWordPress・GravなどのCMS、その他ブログサービスは不要と判断し、導入を見送った。またWixやJimdoなどのWYSIWYGなサイト作成サービスは、広告が表示されるため不適切と判断した。結果として、複数の静的サイトホスティングサービスと無料レンタルサーバーの中から、共同作業が容易であることを重視してGitHubPagesを採用した。GitHubPagesはソフトウェア開発プラットフォームであるGitHubが提供する静的サイトホスティングサービスである。無料プランでは1GBの容量制限と月100GBの帯域幅制限を受けるが、私たちのサイトは容量169kBと軽量なシングルページであり、ワクチン接種対象者が2万人程であることから帯域幅制限は問題にならないと考えた。
デザインは親近感・安心感・北大らしさを感じてもらうことを目標に、基本的なデザインルールに則て要素を配置した。カラーリングは#FFFFFF #000000 #23651Cの組み合わせを使用し、一部の例外を除いて他の色の使用を制限した。
また、
- 環境によらず受け取りやすい
- サイト内検索が容易
- 留学生がより翻訳ツールを使用しやすい
等の利点を意識して、北海道大学がPDFで発信している情報を原則HTMLで掲載した。
3.2 LINE
作成した学生特設サイトを拡散する手段として、北大の予約ページへリンクの掲載を依頼した他、LINEグループへの拡散を行った。LINEグループへの拡散は、
- 北大の学生が発信している情報であること
- 知り合い経由で流れてきた情報であること
を活かし、SNSや一斉メールでの拡散よりも親しみを持った状態で拡散される事を目的としている。情報拡散の依頼にあたっては、考えられる全てのLINEグループを挙げ、各グループに属する知り合いへ定型文とHPとURLの拡散を依頼した。
3.3 ポスター
今回私たちがポスターを作成した目的は、
- オンラインでリーチアウトできない層への情報提供
- 学生特設サイトへのアクセス誘導
の2点である。ポスターは北大を訪れる人であれば学部学生・大学院生・職員など属性を問わずに情報を届ける事ができるため、オンラインで情報が届けられない層をカバーできると考えた。また全てのポスターには学生特設サイトのURL・QRコードを記載し、より詳細な情報を掲載した特設サイトへ直接アクセスできるようにした。
作成には共同作業であること、多くの学生が使い慣れていることからMicrosoft Powerpointを使用した。デザイン担当が事前に作成したテンプレート (potxファイル) を利用することで、誰もがデザインルールを破綻させずに完成形に近い形で作業できる利点がある。
ポスターは掲載できる情報量が限られるため、学生特設サイトの内容の要点のみを記載した。ポスターはWebサイトと違い、受動的に多くの人の目に触れるため、簡潔かつ平易で行動変容のきっかけとなる言葉選びについて議論を重ねた。
デザインについては、
- 学生特設サイトとの統一感
- 印刷方法に関わらず情報を伝達できること
の2点について意識した。ポスターの内容は特設サイトと連動しており、そのサイトと同一のデザインルールを用いることで統一感を演出した。またポスターは北大の各部局にメールで掲示を依頼したため、印刷されるサイズ・様式・掲示型式は各部局に一任される。このため、白黒印刷・縮小印刷されても見やすさ・情報の伝わり方が損なわれない構成を心がけた。
4. 成果
ワクチン接種についての情報やホームページの認知度の向上と接種率の増進をより強固にするため、先述した通り、北海道大学の学生による学部や基礎クラスごとのLINEグループへの情報拡散の協力を得ることができた。学生対策班の中に積極的な1年生が多くいたためか、1年生の基礎クラスは53クラス中36クラスへの発信ができた。2年生以上に関しては、医療系の学部を中心に多くの学部への発信ができたが、文系学部への伝達は非常に難しかった。その他、大学院生や留学生などへも発信することができた。
ワクチン予約開始日の7月12日から接種最終日の9月12日までの私達のHPへのアクセス数を、Googleの提供するアクセス解析ツールGoogle Analyticsを用いて計測した。期間中には10,944人のユーザーからの延べ17,211回のアクセスがあり、内訳は
- 北大の特設サイト 10,404回
- 直接流入(含Line・QRコード) 4,771回
- Twitter 969回
- 検索エンジン 773回
であった。
使用デバイスは
- モバイル 62%
- PC・タブレット 38%
使用ブラウザは
- safari 57%
- chrome 28%
- Edge 14%
であった。
本学では、接種を希望する本学並びに小樽商科大学の学生及び教職員・学内事業者・他大学の留学希望者等を対象に、7月17日(土)から9月12日(日)までの土曜、日曜及び祝休日に新型コロナワクチン大学拠点接種を行った。 接種人数は
- 1回目の接種者が合計 18,302 名(うち本学学生 11,979 名 本学教職員 3,537 名)
- 2回目の接種者が合計 18,009 名(うち本学学生 11,724 名 本学教職員 3,520 名)
であった。なお、医療従事者等向け先行接種により、ワクチン接種を受けた医学部・歯学部の学生及び教職員を加えた接種率は、学生が68.4%、教職員が82.3%であった。
今回の職域接種の時点では、医療系の一部の学生においてはすでにワクチン接種を終えている者もいるため、実際のワクチン接種率はより高くなることが考えられる。当時の20代の学生におけるワクチン接種への調査などから、北海道大学でも学生の接種率も50%程度になるのではないかとの予測もあったため、実際の接種率が60%を大幅に超えた70%近い数字になったことは、学生対策班の情報発信がある程度効果を示しているのではないかと考えられる。
また、私たちの情報発信は、大学における新型コロナウイルス感染症のワクチンに関する正確な情報提供・発信の取組例として文部科学省のサイトで紹介された。大学拠点接種が決定してからいち早く動き出したことで、接種行動への介入に関して一つのモデルを示すことができた。多くの誤情報が出回り、ある情報を正確に伝えることさえ難しくなっている昨今、正確な情報伝達の一つの方法を提示できたのは大きな成果ではないだろうか。実際の文部科学省の資料については本報告書の資料欄を参照されたい。
4.1 活動評価アンケート
私達の活動を振り返る目的で、アンケートを実施した。
- 実施期間 2021年11月10日(水曜日)〜2021年11月16日(火曜日)
- 配信方法 ELMS掲示板・メーリングリスト
- 回答者 1,761名 (うち留学生は165名)
認知していたが閲覧しなかった理由としては、
- 予約方法には困らなかった 115件
- 当日の案内には困らなかった 85件
- 既に職域接種以外で接種していたから 23件
- そのそも何のサイトかわからなかった 16件
- ワクチンの効果には興味がなかった 11件
- ワクチンの副反応には興味がなかった 11件
上記質問で「受けるか迷っていた」を回答した41名による回答は以下の通り。
なお、41名中36名がアンケート実施時点で接種している。
上記質問で「受けるつもりはなかった」を回答した8名による回答は以下の通り。
なお、8名中4名がアンケート実施時点で接種している。
回答者の声
良かった点
- コロナのため大学に行く機会も少なく、気軽に問い合わせできる友人も多くないこともあり、右も左もわからない状態でのワクチン接種だったため、得られる情報はこのサイトを通じて得ていました。これだけの情報を過不足なく提供するサイトを作成するのは、大変でいらしたと思います。おかげさまで全く問題なく、無事接種を完了することができました。本当にありがとうございました。
- とても見やすくわかりやすいサイトでとても助かりました。特にどんな解熱剤を飲んで良いのかの情報が役立ちました。
- まだ副反応や効果についてどの情報を信用してよいかわからなかったので、ワクチンと副反応について信頼できる情報源から少しでも情報が得られるということに安心感がありました。
- 北大から配られた実施要項のpdfを読むだけでは、予約から接種までの流れを正しく把握できているか不安でしたが、適切にデザインされたWebサイト上で再度確認できたことにより、予診表の記入もれや忘れもの心配がなくなりました。
- 事前にどのような副反応が起こるのかを知ることで、当日から翌日以降の予定を調整することに役立ちました。
- 新型コロナウイルスのワクチンの効力や副反応などの情報を得るのにとても役に立ちました。北大医学部生の方が作成されたサイトということで信頼感がありました。
- 当日になって急に、何が必要なのかや何に気をつけた方がいいのかなど色々不安になってサイトを閲覧したら、丁度知りたいことが簡潔にまとめてあってとてもありがたかったです。
良くなかった点
- 大学からの案内などには載っていないような目新しい情報は無かったです。
- ワクチン予約サイトに書かれてる情報で十分だと感じ、正直重複しているのではないかと思いました。
- 期末試験前でサイトを見る余裕がありませんでした。
- 当たり前ですが、厚労省のホームページなどで得られる情報と同じだったので、特に強い印象は持たなかったです。
回答者の声
良かった点
- 北大らしい色味でよかったと思います。
- 緑で統一されていてわかりやすかったです。色弱の人でも読みやすかったのではないでしょうか。
- 余計な装飾はなく、清潔感があって見やすいサイトだと思いました。
- 文字と図がはっきりしていて色使いもシンプルで見やすかったです。
- 派手すぎず地味すぎず、今風のレイアウトで見やすかったです。
- わかりやすく見やすいレイアウトで、欲しい情報をすぐに発見できて良かったと思います。
- 正方形の緑カラーのデザインだったので、視覚的に印象に残りやすいと思いました。
- 簡素なデザインで必要以上に多量な情報は載せず、簡潔で分かりやすいを実現していました。
- 留学生としてはわかりやすくて、簡単に要約できました。
- 少なくともELMS (学生ポータル) より見やすいと感じました。
良くなかった点
- 固定サイドバーにメニューがあるとより見やすくなると思います。
- 少しごちゃっとしている印象があった気がします。
- 日本語のみだったので、外国人留学生が困っているケースが多かったです。
- 接種に至るプロセスが分かりにくかったです。
- もうすこしメリハリがあった方が見やすいと思います。
- ドメインからgithub pagesを使用していることがわかり迅速性が見て取れた一方で、オフィシャルなものかどうか、信頼性が判断しづらかったです。
5. 反省点・今後の展望
今回は学生が能動的に大学に働きかけ協同した稀少な一例となった。従来の形式であればこの職域接種事業は大学本部のみが推進し、学生は受動的にワクチン接種に参加するのみであっただろう。前例のない挑戦には付き物であるが、今回も難渋する局面に数多く遭遇した。
大学本部には総務課を中心としたタスクフォースが結成され、職域接種実施に向けた打ち合わせが連日行われていた。私たち対策班が大学当局に問い合わせる際には、タスクフォースの一員であった玉腰教授に窓口として仲介していただくことで、大学とのコミュニケーションを図ることができた。しかしながら、この方式により当局と直接的な連絡をとる場合と比べると物理的な時間を要し、情報の行き違いの原因となったのも事実である。例えば、当初は大学の公式サイトと我々の学生サイトの公開のタイミングを合わせる予定だったが、連絡が上手く行かずこの試みは失敗に終わっている。これは私たち対策班と大学サイドの物理的な距離から生まれた実例の一つと言える。
今回は前例なき取り組みであったため、このような活動形態をとらざるを得なかった。今後学生が大学当局と共存し手をとりあう機会があるとするならば、より直接的なコミュニケーションを図れるように工夫されたい。連絡係や調整係として学生数名を大学当局の会議に出席することも一つの解決策であろう。
また、アンケートの結果から私たちの活動を客観的に評価することができた。アンケート回答数は学生の総数から比較すると微々たるものではあるが、大変貴重な意見が多数寄せられた。学生特設サイトを見る前の気持ちとしてはワクチン接種にあまり積極的でなかった学生に対して、微力ではあるが行動変容への一助となったことも回答結果からうかがえた。しかしながら課題も垣間見え、特に英語など他言語対応については今回は力及ばぬ結果となった。さらに取り扱った内容としては、すでに自力で情報収集をしていた学生にとっては既知の内容に留まり、より踏み込んだ情報を求める学生にとっては満足できない "無難な" 情報サイトとなっていたようである。もちろんすべての学生の期待に応えることが理想ではあるが、実際問題として実現可能かどうかの判断はその場の状況に応じて行われるべきである。次回以降の活動ではより多くのニーズを把握し、実現かつ持続可能な範囲内でそれらに応えられることを願いたい。
最後に、北海道大学には教職員の数を遥かに超える学生が在籍している。今回は27名の有志が集まり本活動を実施したが、学生がより関わりやすい環境を整えた上で、今後も学生と大学が手をとりあうのであれば、より大規模かつ成果の出る活動を実現することができるだろう。大学本部の取り組みに対して学生が主体的に関わることが、さらには学生自らが大学内で何かに挑戦しようと立ち上がることが、北大の更なる発展に確実につながるであろう。大学と学生の双方が輝ける未来に期待したい。
6. 資料
資料2. ポスター
この資料は、接種当日の学生ボランティアのためのものである。作成には対策班だけではなく、接種当日のみ学生ボランティアとして関わってくれた学生も携わった。
7. 玉腰先生より
大学が職域接種を行うことを決定してから企画、準備、実施に至るまで、短い期間しかない中、学生対策班の方々には大きな役割を果たしていただきました。大学にとってもこのような取り組みは初めてであり、走りながら考える場面が多かったこともあって、確定するまでは情報が出てこないことに、もどかしい思いもされたことと思います。ここにまとめられているワクチンに関する情報提供はもちろん、会場でのスムーズな接種に向けた学生ボランティア活動にも申し送り事項のまとめや人員の呼びかけなどを通じて献身的に力を発揮いただいたことに心から感謝いたします。この学生たちの持つ力と熱意が最大限に発揮されるよう、学生が協力できる大学の様々な活動において、大学の意思決定のプロセスがより可視化されること、意思疎通がよりスムーズに行われる体制が構築されることを願っています。
8. 謝辞
今回の活動では、北大の寳金総長をはじめ、総務課やワクチン接種タスクフォースなどの大学本部の皆様から、ご指導とご承認をいただけたことが私たちの励みとなり、活動展開への大きな後押しとなりました。また、北大公衆衛生学教室の玉腰教授には活動の終始にわたり、監修としてご指導いただきました。さらに、情報発信に際しては一部学生の皆様にも拡散のお手伝いをしていただくことになりました。お世話になったすべての皆様に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。